昨今は、コロナ禍の影響もあり全世代において運動量が減少していると言われています。
高齢者では、特にサルコペニア(加齢に伴う筋肉の量や筋力の減少。また,それによる身体能力の低下。)などが懸念され、運動を啓発しているのも事実です。
とはいえ、運動量の減少は新型コロナによる影響だけなのでしょうか。
運動量の推移を示すデータを確認すると、やはり数十年前から徐々に運動量の減少が起きていることがわかります。
日本人の運動量推移について

日本人の運動量が減少しているということは容易に推測されることではありますが、実際のデータではどの程度変化しているのでしょうか。
厚労省が公表している「日本人の栄養と健康の変遷」では下記のようになっていました。

約30年前の1日の平均歩数は、上記グラフによれば男性が8,200歩程度、女性が7,200歩程度でした。
それが2018年は男性が7,000歩前後、女性が6,000歩前後となっており、ここ30年で1日の平均歩数は約1,000歩ほど減少していることになります。
健康志向の方は近年増えているように感じますが、過去の推移を見る限り、今後の平均歩数の増加はそう容易には見込めないのではないでしょうか。
また、運動習慣はいかがでしょうか。

の割合の年次推移(20 歳以上)厚労省「令和1年国民健康栄養調査」
ここ10年における運動習慣は男性はほぼ横ばいで有意な増減なし、女性は減少しています。
全体でみると、やはり日本人の運動量は減少していると考えられます。
こちらは、同様に令和元年国民健康・栄養調査報告(参考:厚労省ホームページ)での1週間の運動日数の状況です。
【20歳~64歳】
・運動習慣なし:57.1%
・1日/週:12.7%
・2日/週:8.3%
・3日/週以上:22%
【65歳以上】
・運動習慣なし:40.7%
・1日/週:8.6%
・2日/週:8.8%
・3日/週以上:41.7%
参考:令和元年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省ホームページ)
成人年齢では運動習慣がない者が半数以上、65歳以上では4割にのぼります。
一方、3日以上の運動習慣がある者は、成人年齢では2割、65歳以上では4割と一定数おり、運動をする人としない人の間での拡がりができているようにも感じます。
運動量減少の理由とは?

数十年前に比べて今は圧倒的に便利な社会となり、車やエレベーターなどは誰もが使用できるものとなっています。
そうした中で人は無意識に楽を選ぶ生き物とされ、よほど意識しない限り運動量が減るのは自然なことのように考えられます。
また、運動ができない理由については次のようなデータがあります。
スポーツ庁が1年間に運動やスポーツをしなかったと答えた者(363 人)に,その理由を聞いた答えです。

理由として、多くみられたのは、以下でした。
【運動・スポーツを行わなかった主な理由】
・仕事(家事・育児)が忙しくて時間がないから
・年をとったから
・体が弱いから
昨今はネット社会で健康に関する情報が手に入りやすくなり、運動の重要性を理解している方も少なからずいると考えられますが、仕事や家事・育児が忙しい現役世代においては運動の必要性がわかっていても、やはり時間の確保が難しいようです。
日常の運動量を増やす方法

心身に様々な健康効果をもたらす運動、改まって時間を確保することができれば何よりですが、まずは日常生活でできる運動を増やしてはいかがでしょうか。
忙しい中でも少し工夫をすることで、目標に足りていない2,000歩とはいかないかもしれませんが歩数や活動量を増やすことはできます。
【日常の運動・活動量を増やす工夫】
①エスカレーターを使わずに階段を使う
②駐車場では店の入り口から遠いところに停める
③買い物ではカートを使わずにカゴを持つ
④すみずみまで掃除を行う
⑤近場は歩きや自転車で行く
⑥目的地の1つ手前の駅や停留所で降りて、歩く
⑦仕事場から遠いトイレを利用する
⑧よく着るもの(下着など)を一番下の引き出しに入れ、毎回かがむようにする
⑨姿勢を整える(背筋を伸ばす)
⑩電車やバスの乗車時に座らない
この他にも日常生活で活動量を増やす方法はたくさんあります。
自身にあった方法で、不足しているとされる1日2,000歩(時間にすると20分程度のウォーキング)に近づける工夫を少しづつ取り入れてみるとよいですね。
まとめ
日本人の運動量は1日の歩数や運動習慣のデータからもわかるように年々減少しています。
特に仕事や家事・育児に忙しい現役世代の運動量が少ないようですが、日常生活の中でできるながら運動や、少しの心がけで運動量を増やすことができるため、自分の生活にあったところから始められるとよいですね。
今日も健やかな1日になりますように。
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